The Last Lie
『あいつ…どうしようもないなぁ』
そう言った香汰くんは、カシャンと音を立ててフェンスから離れ、私の頭を優しく撫でた。まるで小さい子にするみたいに。
なんで香汰くんはこんなに優しいんだろう。
『昨日のメール、“聞きたいこと”ってなぁに?』
香汰くんはまたフェンスに近づきながら私に背中を向けて聞いてきた。
風が私の髪をさらう。
目の前の香汰くんのやわらかそうな髪の揺れる毛先が陽に透けてる。
『あの、言いたくなかったり、知らなかったらいいんだけどね』
今更だけど聞いていいのか迷う。でも柚杞には聞けないから。バレる訳にはいかないから。