The Last Lie
『あの、』
『うん』
『どうして、』
『うん』
『どうして、柚杞と楓さんは…別れちゃったの?』
『……』
ギュッとセーターの裾を握りしめて絞り出すような声で尋ねた。
ずっと気になってた。
なんでだろうって。
あんな辛そうに電話してたくせに、
結局連絡取ってるくせに、
どうしてやり直さないの?
どうして私と別れないの?
そもそも、どうして二人は別れちゃったの?って。
『……』
香汰くんは背を向けたまま何も言わない。
やっぱり聞いちゃいけなかったかもしれない。
いくらなんでも、私にそんな話するのは香汰くんも気まずいのかもしれない。
人の話を人づてに聞くべきじゃないのかもしれない。