The Last Lie
柚杞の好きになった人。
好きで仕方なくて手に入れた人。
好きだから手放した人。
もっと酷い人なら良かったのに…。
顔も見たことないその人を本気で羨ましいと思った。
『好きだから駄目なんてあるんだって思った。まぁ、
ー…お互いが優し過ぎたんだろうね』
香汰くんがそう言った時、四時間目の終業のチャイムが鳴った。
『……平気?樺乃ちゃん』
『うん!ありがとう、聞けて良かった』
『…なら良かった』
香汰くんはまだ心配そうな顔で私を見てた。
『大丈夫だよ!私麗待たしてるから教室行くね?香汰くんは?』
『昼、柚杞がここ来るから待っとくよ』
そう言われて一度目を合わせて微笑んでドアを開く。“バイバイ”って言おうとした瞬間、
『樺乃ちゃん』
呼び止められて振り向いた。