The Last Lie
暑い夏が終わりかけた新学期の日のこと。
文系の私はホームルームで思わぬ宿題を出された。
《読書感想文800字以上》
文学だのなんだのに全く興味なんてない私にとって、いじめなんじゃないかって本気で思った…。
いつまでも本気で無理だ、どーしようと騒ぐ私を見かねた担任、とう爺は『なら、これ読め』とわりと薄めの古びた本を手渡した。
後から聞くに、とう爺の愛読書だったというその一冊はすごく読みやすい恋愛小説だった。
泣けるというより心を綺麗するような独特な文章が気に入った。
『うちの図書室にこの作家の本置いてあるから』
その本を返そうとしない私にとう爺は呆れながら言った。