17年間…私が歩んだ道
体から無数の管がのび
拓哉のお母さんは
静かに眠っていた。


1時間ほど
私たちはそこに
立ち尽くしていた。

「夏美…もう遅いし
お前帰れよ
俺ここに泊まるから」

『でも…』

「大丈夫だって!
お前が泊まって
風邪ひかれても
困るしなー♪
送ってやれんけど
大丈夫か?」

『それは平気だけど…
拓哉は大丈夫なの?』

「俺は大丈夫て!
気をつけて帰れよ!」

『うん…
また明日くるね!』

「おう!じゃなっ」


最後らへん拓哉は
元気なフリをしていた。
それがカラ元気だって
事くらいわかる。

目には少しだけ
涙が溜まっているようだった。


おばさん…。
拓哉を一人にしないで…
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