鬼畜な俺様執事
しばらくすると、看護師さんが連絡をしてくれていたのか、両親が来た。
二人とも、心配そうに私の顔を覗きこむ。
普段、一緒にいることが少ないから、何を話したらいいのかわからない。
両親よりも、朔夜に来て欲しいと思ってしまった私は、親不孝な娘だと思った。
「全く。びっくりしたよ」
何度も父はそう言って、愛おしそうに私の頭を撫でた。
あんなに切望していた、一人じゃない部屋。
それなのに、私の気持ちは浮かない。
朔夜がいない。
それだけなのに。