鬼畜な俺様執事
朔夜は、驚きのあまり半泣きになっている私を、そっと抱きしめてくれた。
「泣くほどのことじゃないだろ」
苦笑しながら、力を強める腕に、私はすがりついた。
「だって……怒ってると思っ……」
私の言葉に、朔夜は体を少しだけ離し、視線を合わせて言った。
「あんなことくらいで心が離れるとでも思ったのか?
俺の恋は何年越しだと思ってるんだ」
そう言った朔夜は、私の髪を優しく指でかきあげながら、そっと額にキスをくれた。