鬼畜な俺様執事


ふっと笑った朔夜から温かい息がもれて、私の耳をくすぐる。



そしてそっと私の体を離し、子供に言い聞かせるようにゆっくりと言った。



「戸籍上は恋人だろ」



え……?



「朔夜……それって『戸籍上は他人』じゃないの?」



聞き返した私に、朔夜は視線を逸らして小さく言った。










「綾香に『他人』なんて言葉、使いたくねぇし」



だから恋人。そう言った朔夜は耳まで真っ赤で。



「朔夜……」



「ん?」



「大好き」



そう言った私の頭をポンポンと撫でて



「知ってる」


と笑った。


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