鬼畜な俺様執事
父は、朔夜が玄関から入ったと思っているらしく、岡谷さんの職務怠慢と決めつけているようだった。
岡谷さんは父に気付かれぬよう、私に合図した。
窓から入ったことがバレてないなら、また会うことも出来る、そう言いたいのだろう。
でも、それじゃあ岡谷さんは……
岡谷さんは、辞めさせられちゃうでしょ……?
どう行動すべきか考えているうちに、父は岡谷さんと話はついたと思ったらしく、部屋を出ようとした。
「一つだけ、宜しいですか?」
岡谷さんが、初めて父に言葉を掛けた。
父は立ち止まり、岡谷さんの言葉を待つ。
「これからは、お嬢様の話相手として、時々お屋敷に伺いたいのですが」