鬼畜な俺様執事


朔夜さんは、薄く笑って私を見た。



「軽蔑しましたか?」



私は、ふるふるっと首を振る。



不思議と軽蔑はしていなかった。

ただ…驚いた。



「ご両親に言いますか?」



考えてもみなかった。

でも、両親へ言えば、きっと解雇されてしまう。


朔夜さんは、今朝、『学費免除は有り難い』と言ってた。

生活が大変なのかもしれない。


私の一言で、職を失わせてしまうかもしれないと思うと、言える訳ない。


私はそれ以外の、最大の理由を、頭から追い払った。



朔夜さんにいなくなって欲しくない、という理由を。

< 43 / 385 >

この作品をシェア

pagetop