あたしと彼のオトナな契約
「いや、ソレとコレとはまた違う次元の話だな」
何気無く胸ポケットからタバコを取り出して、カチカチとライターの蓋を鳴らす。
全く、動揺1つ見せやしない。
「答えになってないよ。 あたし、驚かない?って聞いたの」
「驚くも驚かないも、お前がウチ出てったらどこ行くんだよ?」
「別にどこにでも行けるよ、友達ん家にお世話にもなれるし。 施設でもいいし」
「バカか、お前。 仮にお前が出ていったって、1ヶ月もしたら帰ってくるよ」
「何でそんな事言い切れんのよっ。 あたしの事なんて、分かんないじゃない」
「分かる」
「何でっ?」
あたしがそう言ったところで、晋也さんはあたしの後頭部に手を当てて
あたしをぐっと自分の方に引き寄せた。