あたしと彼のオトナな契約
弘明のお母さんとあたしのお母さんは仲が良かったし
お互いの家庭についてとかも色々話してたから、問題はない。
弘明のお母さんはあたしに優しいし。
あたしはふい、と窓の外に目をやった。
「眺め、キレイだね。 あたしの家からは、歪んだ景色しか見えなかった」
言った瞬間、自分の言ったことにびっくりした。
景色なんて、そんなゆっくり見たことなかった。
見ようとも思わなかった。
きっとお母さんが入院してから、気持ち的に辛かった時に見た景色が
今も心に残っているからなんだろう。
そんな時に、晋也さんが一緒に住もうって言ってくれたから。
「俺もこの部屋の景色、好きなんだよ。 毎朝この部屋に来てたのに、お前が住むんじゃこれなくなるな」