あたしと彼のオトナな契約
「赤くなってなんかいないし…きゃっ!」
キッと晋也さんを睨んで上げたあたしの顔は、一瞬にして驚きに変わった。
「ちょっとっ!」
晋也さんの左手はあたしの腰に回っていて、右手は顎をつかんでいた。
っていうか、腰…くすぐったい。
「メガネ邪魔なんだろ? じゃあ那奈がはずして」
「自分ではずしなよ…」
あたし心臓もたないから…無理だって。
だいたい顔っ! …近い……
「無理。 俺の両手は今、那奈で精一杯だから。 那奈がはずして」
「~~っ……」
あたしは震える手を伸ばし、恐る恐る晋也さんの黒ぶちフレームのメガネをはずした。
あたしがメガネをはずすかはずさないかのうちに、あたしに晋也さんの体重がかかって
あたしはそのままバランスを崩して背もたれに倒れた。
外では子供の笑い声が聞こえた。