風の音、魂の音。
吹きすさぶ。
たなびく木々。
舞う木葉。
舞い散る雨。



ドウドウと風が唸る。
僕はその音を聞く。
また今夜も眠れそうにない。
僕の心が、魂が、風を呼んでいるからだ。


外は全くの無風。
遠くで犬の鳴く声や、ヒソヒソとした人の気配、車の音が聞こえる程に静まりかえっている。

けれど、僕の中には風が吹き荒れているのだ。
だから僕は眠れない。
たまには風に身を任せ、思うがままに乱れてみても良いかもしれないけれど。
こんなに強い風だと、僕もろとも無くなってしまう気がしてならないのだ。



外界への意識を遮断して、僕は風に意識を集中させた。
嗚呼、またこんな夜がきた。






風に身を任せ、僕はまた、死出の旅に出るのだ。




END
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