home(短編)
「でも…………」
憲二は私の気持ちを気にしている様子で、
私が座る助手席のシートに手を置いたまま戸惑っていた。
『これで…最後だよ。』
本当はね
離れたくないよ
奪ってしまいたい
でも…………愛してるから
できないよ
だからせめて最後に
大好きなキスだけを
その温もりだけを
私に残して。
涙が頬を伝うと同時に
憲二は私の瞳を熱く強く見つめ
ゆっくり
キスをした。
何度も唇を挟んで
終わってしまわないように
私も憲二も唇を離さなかった
好き…
好き……
大好きだった…………