home(短編)
『部長、新しい企画の資料、出来上がりました。』
もちろん
私たちが関係を持っていることは誰も知らない。
昨日熱いキスを交わした二人。
こんな風に部長と社員が当たり前の態度で会話しているのを見て
誰も想像しないだろう。
「おぉ、チェックするからそこ置いといて。」
憲二はパソコンからちらっと目をこっちに向けて、また目線を画面に戻した。
『はい。』
「あ、それから春木さん…これ、時間あったらコピーよろしく。」
そう言って渡された資料が入っているクリアファイルには
一緒に“今日泊まりで会えそう。9時にいつもの店で待ってて。”とメモが挟んであった。
こんなん
一緒にコピーしちゃったらどーすんのよ。