home(短編)
憲二の腕に抱かれて、寝息をたてる憲二を見つめる。
ねえ、
こんなに近いのに
明日になればあなたはまた遠くなる。
私ね、
ずっと言えないんだよ
言葉にしたら、なんだか憲二の心が離れていく気がして…
暗黙の中で憲二を求めるの、いつも。
私はいつも言えない、
だけど言いたい言葉をそっと呟く。
『…憲二……奥さんと…………別れて………』
夢の中の憲二は
私の声に起きるはずもなく、
私は憲二の香りを自分の身にしみ込ませるように瞳を閉じる。
私だけのものになってほしいよ。