花音ちゃんと私
偶然居合わせた先輩が慌ててマフラーを拾ったのだ。

「マフラー、落としたよ」

全くもってベタな展開。
ただそれだけ。


「まさに運命だったわ」

よっぽど嬉しかったのか、もう花を終えた金木犀の渡り廊下を通る度、花音ちゃんは言う。

そんなこんなで花音ちゃんの片思いは三ヵ月目を過ぎようとしていた。

「ねぇ里子、例のチョコの話なんだけど」

そして花音ちゃんはその片思いに、終止符を打とうとしていた。

花音ちゃん、いや、日本中の恋多き乙女が待ちに待っているイベント。

ずばり、バレンタインデー。
< 15 / 36 >

この作品をシェア

pagetop