花音ちゃんと私
「大塚はさ、俺のことどう思ってる?」

もう一度「え?」と言いそうになり、私は思わず口をつぐんだ。

想像もしていなかった、奇妙な展開だった。

ドラマのワンシーンのように、ざーっと風が、渡り廊下を吹き抜ける。

私は視線を感じて金木犀の方へ振り返った。

花音ちゃんが、金木犀の木の前に立っていた。

花音ちゃんに聞かれてしまった。

そう察した途端、体中の血の気が引いていくのを感じた。

花音ちゃんは私に気付くと、踵を返して走り去った。

私はすぐ花音ちゃんを追い掛けた。
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