花音ちゃんと私
「名前、呼んだっていいでしょ?親友なんだから」

言い切った途端、視界が潤んでしまった。私はそのまま幼稚園の歩道に崩れ落ちる。

「馬鹿ね」

花音ちゃんは笑っているんだ、と私は思った。いつもするような、澄ました笑い方。

私の足元に、ぱたりと何かが落ちた。

「あーぁ、槇先輩に渡し忘れちゃった」

見ると、落ちていたのは某大手製菓メーカーの板チョコだった。

私達は幼稚園に隣接している公園の、ぶらんこに座って板チョコを食べた。

板チョコを食べながら、花音ちゃんは色々なことを話した。
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