花音ちゃんと私
花音ちゃんの歩く道の先に、薔薇のアーチや噴水がある大きな家なんてないことを、私は知っている。

花音ちゃんの家に、スタイルが良くて料理が得意なお母さんなんていないことも、私は知っている。

でも私は花音ちゃんの話を信じている。

誰が何と言おうと、私は花音ちゃんの話を信じていたい。

結局、私は花音ちゃんのことが大好きなのだ。

だから妄想でも嘘でも空想でもいいから、いくらだって話を聞いてあげたいし、信じたい。

そう思うと、苦笑いが込み上げてくる。

私は踵を返し、自分の家に向かう。
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