花音ちゃんと私
花音ちゃんは左に、私は右にそれぞれ進む。

「じゃあまたね」
「また明日」

私達は毎朝ここで待ち合わせて学校へ行き、ここで別れて家路につく。

たまに花音ちゃんは自分の家の話をする。それも、かなり機嫌のいいときに、だ。

花音ちゃんの家は庭に大きな噴水があって、薔薇のアーチがあるのだという。そして花音ちゃんの部屋は教室くらい大きいのだとか。

「里子には考えられないでしょ」

花音ちゃんは得意げに自分の家の話をしたあと、こう言ったのだった。
私は三メートルくらい歩いた後、花音ちゃんのほうへ振り返った。
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