*制服のボタン*a solemn promise*


「……昔の女だ…」


…やっぱり……

分かっていてもやっぱりショック…

綺麗な人だった。



…でも…それだけ?…

あの人に呼び止められて、振り返った時の陵弥の顔が曇ったのは気のせい?


私の手を握った時、陵弥の心が震えてる様に感じたのは……何故…





「凜花…好きだよ…」



私の耳元で囁いて。

深いキスをしてきた。


優しい言葉とは裏腹に、いつもと違う陵弥……



陵弥は私を抱いた。



いつもは優しい陵弥が、ちょっと乱暴に…私を抱く。

正直、苦痛さえ感じた。


だけど…陵弥の心が震えてる気がして…拒否れなかった。

受け止めてあげたかった。陵弥の震える心を……


私は最後まで耐えた。



私の頭を撫でる陵弥が見つめる。


いつもは甘くて、幸せな行為が……

今の私には切なかった。


「…ごめん…優しく出来なかった…」



優しい言葉に胸が熱くなって、頬に涙が伝った。



いつもの優しい目になった陵弥が、そっと涙を拭いて、見つめる。



そして唇を合わせた。




「陵弥……ちゃんと話して…私…受け止めるから…」


私は陵弥にそう言った。



< 10 / 201 >

この作品をシェア

pagetop