*制服のボタン*a solemn promise*
バタンと玄関の扉が閉まる音と共に、怒った陵弥が出て行った。
「お前の方がよく考えろよ!!」
私だって考えてるよ!!
陵弥を怒らせたい訳じゃなかったのに……
私だって…
私だって純粋に嬉しいよ……
ポロポロと涙が溢れ出して、陵弥の出て行った部屋で声を上げて泣いた。
もっと2人で喜びたかったよ。
どれくらい泣いたかな……
涙で滲んだ瞳の中に小さな箱の中のボタンが映った。
そのボタンを手の上に乗せて見つめた。
初めて陵弥と出会った時に私の髪が絡まった陵弥のボタン。
『俺が信じられなくなったら返して』
陵弥……
私は陵弥を信じてるんじゃないの……
「俺は、凜花に子供が出来て純粋に嬉しかったのに」
陵弥は喜んでくれた……
何を迷う必要があったの…
陵弥との未来を信じて傍にいたんじゃないの。
陵弥が結婚しようって言ってくれて、本当に嬉しかったんだ。
好きで好きで堪らなく好きで。
言葉だけじゃ言い表せないほど愛してるんじゃないの……
陵弥しか考えられなくて。その陵弥の赤ちゃんを授かって……
「……陵弥…」
ボタンを握り締めると、私も玄関を出た。