*制服のボタン*a solemn promise*


時々、陵弥の部屋に寄る。

窓を開けて、風を入れると、レースのカーテンを揺らす風が私の頬を撫でる。



…陵弥が…
触れてるみたい…




目を閉じれば、そこに陵弥がいるみたいな気がする。


陵弥の匂いのするこの部屋は、陵弥を感じる……


知らないうちに頬を伝う涙……




「ばーか。何、泣いてる」


……陵…弥……



………フッ……




不思議……

この部屋は1人で泣いてもいい様にって、陵弥が鍵をくれたのに。



泣かせてくれない。


陵弥の声が聞こえるから。


「陵弥、私泣いてないよ」


誰もいない部屋で呟く。




部屋を見回せば、陵弥はいない。


だけど、浮かんで来る…


陵弥と過ごした日々。


ソファーに座った陵弥。


腕組みをして私を見下ろす陵弥。


ベッドの上で眠そうに目を擦る陵弥も……




私と陵弥の大切な毎日がつまった部屋。



「ばーか。俺の傍で俺の事だけ考えてろ…」




……陵弥…


陵弥はいないけど、私、陵弥の事ばっか考えてるよ…



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