聞いて、姉貴
──ゴクッ。
手に汗が滲み、喉が鳴る。
俺には関係ない。
姉貴とアイツの…会話なんか。
口論してようが。
姉貴が泣いてようが。
関係、ない………
────なのに。
「分かったから!これからはちゃんと雄司の許可貰ってからにするから!」
………え?
泣き叫ぶような姉貴の声に、足がすくんで動かない。
ただの喧嘩じゃない。
一瞬でそう感じた。
実は、姉貴の言葉には思い当たる節があった。
『許可』
姉貴はアイツと会う前、よくその言葉を口にする。
「この服はやっと雄司の許可が下りてー…」
とか
「許可無く着たら不味いかなぁ」
とか。
最初は意味が分からず、俺はただ苦笑いを浮かべることしか出来なかった。
けど。
今思えば、何かがおかしい。