聞いて、姉貴


瞬間。

ひとつの疑惑が頭をよぎった。


──束縛、されてるのか?


そりゃあつきあってる二人なら、少々の束縛なら有り得ると思う。

けど、姉貴の場合は何かが違う。

束縛の粋を超えた、ただならぬ何かがあるような気がする。




「……わかった。本当にごめんね、勝手なことして」


しばらく立ち尽くしていた俺だったが、姉貴の声が落ち着きを取り戻したのを機に、逃げるようにその場から離れた。


──関係ないだろ。

束縛されてようが、別れる別れないは姉貴が決めることだ。


俺が口を出すような問題じゃない。


なのに、何でだよ。

胸が痛い。
悔しい。苛々する。



──姉貴を泣かせたアイツが許せなかった。




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