聞いて、姉貴
その時。
──ガチャ。
玄関の開く音に、俺は思わず腰を上げた。
姉貴だ。
帰ってきたんだ。
「……ただいま」
「──…遅せーよ。もうとっくに飯食っちゃったからな」
ほんと、心配かけやがって。
「あ、今日親父たち遅くなるって…うわっ!?」
…………え?
それは、一瞬の出来事だった。
いきなり飛びついてきたと思ったら、そのまま無言で俺の胸に顔を埋める姉貴。
その反動でバランスを失い、俺は姉貴を抱えたままソファーの上に崩れ落ちた。