聞いて、姉貴


「……お前、大丈夫なわけ?」

「え?」

「何かあったんだろ、アイツと」


…姉貴の泣く原因なんて、アイツぐらいしか無い。


姉貴は一瞬躊躇ったように視線を泳がすと、


─…コクン

小さく頷いた。



「陸、あたしね…ちょっと冷静になろうと思って」

「何が?」

「雄司とのこと。」


雄司──…

朝っぱらから嫌な名前を聞いちまった。

つか、いつの間に呼び捨てになってんだよ。

…なんて、今はそんなことでいちいち腹を立ててる場合じゃないか。




「別れるかもってこと?」

単刀直入に 問いかけると。


「……うん」

そう言って、小さく俯く姉貴。




ごめん、姉貴──。


不謹慎かもしれないけど、
俺いま ホッとしてる───。




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