聞いて、姉貴



……けど。

まさか、一人で行くのか?



「大丈夫かよ」


一人玄関へ向かう姉貴の背中を、慌てて追いかける。


俺が口を出すことじゃないのは分かってる。


でも──…



「姉貴」


意を決して、俺は声をかけた。


「心配だから、送る」


そして、姉貴の手から強引に傘を奪った。



──こんな俺を、人はシスコンだって笑われるだろうか。


でも、笑われたっていい。


お前を一人で行かせるぐらいなら、いくらでも笑い者になってやるよ。




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