聞いて、姉貴
──相合い傘なんて、別に一度や二度じゃない。
むしろ姉貴のほうが積極的にしてきたこともあった。
──…なのに。
「おい姉貴、ちゃんと入れよ。濡れてんじゃん」
「だ、だ、だって」
今日に限って、姉貴は妙に遠慮して距離を開けてやがる。
──…何なんだ?
急に弟と相合い傘すんのが恥ずかしくなった、とか?
だとしたら…
相当ショック、かも。
結局、駅前に着く頃には、二人して半濡れ状態になっていた。