聞いて、姉貴



「おい」


立ち上がろうとした二人の前に、強引に立ちはだかる。


「…陸!」

今にも泣きそうな目で俺を見る姉貴。


…危機一髪、ってとこか。



「なんだ、お前は?」


怪訝そうに、男が俺を睨みつけている。


…ふぅん。

コイツが『束縛男』か。

大したことねぇじゃん。



「……帰るぞ」

男の言葉を無視し、姉貴の手を掴んで店を出ようとした。



……が。




「……そうゆうこと、か」

ポツリと不気味に呟く男。

それでも構わず立ち去ろうした俺たちに、ソイツは追い討ちをかけるかのように口を開いた。



「君が真弥の新しい彼氏なら、ひとつ良いことを教えてあげるよ」



思わず 足が止まる。



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