聞いて、姉貴
「あいにく俺は……」
…ギュッ。
姉貴の手を一層強く握りしめて。
真っ直ぐソイツを見て。
「アンタと違ってセックス無しでもこいつを愛せる自信があるから」
そう、キッパリと言ってやった。
一瞬目を見開く男。
だが次の瞬間には、再び口端を上げて笑う。
「はっ、そんなの綺麗事だろ?」
「そう思いたければ思えばいい。でも俺は何があっても、こいつの側から離れるつもりはない」
……伝われ。
俺の本心なんだよ、姉貴。
「……り、く?」
愕然とした表情で、姉貴は俺を見上げたまま。
「……だから、二度とこいつに近寄るな」
最後にそう言い捨て、俺は姉貴の手を強引に掴んで店を後にした。