聞いて、姉貴
「ハァ…陸、待ってよ」
「…あ、わりぃ」
慌てて掴んでいた手を放す。
無我夢中で歩いていたせいか、気づいた時には既に家の近くの公園まで来ていた。
しかも、傘も忘れて。
「…陸、髪の毛、濡れてるよ?」
姉貴が小さく微笑みながら、タオルを出して俺の髪に触れた。
「……姉貴」
「なに?」
「あのさ、さっき言ったことだけど…」
言いかけて 止めた。
──嘘だから。
なんて、言える訳がない。
だってあれは…
あの言葉は…
俺の…本心だから。