聞いて、姉貴



「じゃあ何?」


「だ、だ、だからっ!その…」


──なんだ?

明らかに何か言いたげなのに、なかなか口にしない姉貴。


何だよ、俺に言いずらいことか?



……あ。

もしかして。


窓の外が一瞬明るく光ったのを見て、俺はニヤリと笑って言った。


「分かった」

「へ?」

「雷が怖いんだろ?」


……そうだ。

姉貴は昔から、雷が大の苦手だった。


「相変わらずビビりだな、姉貴は。……ほら、入れば?」


そう言って、中に入るように促すと。


「…え、いいの?」


遠慮がちに姉貴が俺を見上げる。


「どーぞ?」


姉貴が部屋に入る分には構わない。

問題は──…俺がこいつと二人きりで、理性を保てるかどうか、だ。



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