聞いて、姉貴
「陸のは?」
「は?」
思いついたように、姉貴が声をあげる。
「陸の写真も見ようよ」
──言うと思った。
押し入れの奥底にしまい込んでいた、色褪せた青色のアルバム。
軽く埃を払ってから、姉貴に手渡した。
「これ、あたしもいるんじゃん!!」
母さんの字で“真弥・陸”と書かれた表紙を見て、姉貴は不満そうに口を尖らせた。
「別に良くね?」
「あたしは陸のソロが見たかったの!で、由紀に一枚200円で売りつけるつもりだったのに…」
「ははっ、何だそれ」
笑いながらベッドに腰を下ろすと、姉貴もそれに習うように隣に腰かけてきた。
肩が触れそうで触れない距離に、思わず唾を飲む。
─…やっぱ、近くに居るって緊張すんな。