聞いて、姉貴



「ギャー!ブサイク!」


表紙をめくるなり、姉貴が叫び声を上げる。

どれどれ?と覗き込めば、そこには鼻水を垂らしながら笑っている姉貴のドアップ写真があった。


「え?かわいーじゃん」


2歳くらいだろうか。

頬が真っ赤で、林檎みたいで。

今の姉貴からは想像もつかないほど、ぷっくりと太った女の子。



「か、可愛い?」

目をキラキラさせて、姉貴が俺を見上げる。


──何だ、その目は。

誘ってんのかよ。



「うん。この頃はな」


だから少し、意地悪を言ってやった。


「……」


あ、怒った。

分かりやすく頬を膨らませる姉貴に、ついつい目尻が下がってしまう。


嘘だよ、姉貴。


ほんとに ほんとに

食べちゃいたいぐらい

可愛いって思ってるよ



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