聞いて、姉貴



「……な、なんか若いね、あたしたち…あはは」


笑顔がひきつってるぞ。

そう思いつつも、

「…うん」

小さく頷く。


「「………」」


き、気まずい──…

いつもの姉貴ならこんなの笑い飛ばすはずなのに、今日に限ってこの反応。

調子が狂う。



そして。

そんな空気に耐え切れなかったのか、姉貴はアルバムを胸に抱いてスクッと立ち上がった。


「あ…おい、それっ」


俺も慌てて立ち上がる。


「これ、あたしが預かっておく」


「は?いいよ、俺が持ってる」


「いやあたしがっ」


「いやいや俺が…」


二人して、アルバムの引っ張り合い。

何やってんだ、俺たちは。




──と、そのとき。


「キャッ!」

「…と、危ねっ」


転びそうになった姉貴の体を、慌てて支える。


一瞬絡み合う視線。


時間が止まったような気がした。




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