聞いて、姉貴



元々俺は、アストロジェットという子供向けアトラクションの機械操作を任されていた。


それがどうしてか、急にぬいぐるみの人手が足りなくなったとかで、急遽ヘルプで他ブロックへと駆り出されることになったのだ。


本当…ツイてねぇ。


「まぁまぁ陸くん、そう落ちこまずに。後で社食オゴるから!」


ぬいぐるみの先輩である小西さんが、ウサギの頭部を被りながら声をかけてくる。



「…小西さん、その言葉忘れないで下さいよ」


──それにしても。


ウサギの顔はこんなに可愛いのに 中身はこんなオッサンだって知ったら、子供たちも泣くだろうな…



そんなことを思いながらも、気分を入れ替えて入場ゲートへ向かった。




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