聞いて、姉貴



──────

───


気づけば外はすっかり暗くなり、冷たい風が頬を撫でる。


一日が終わるのは早い。

こんな仕事だから尚更だ。


……今日も親父たち、遅くなるって言ってたっけ。


また二人きりになるのか、
そう考えたら自然と溜め息が漏れた。


怖いんだ……

アイツと二人きりでいて、いつ理性を失うか。


意識があるならまだいい。

けど。


1年前のあの日みたいに、また寝ぼけてアイツを襲いかねない。


今日は必要以上に近づかないようにしよう。


そう心に決め、ドアに鍵を差し込んだ瞬間だった。



♪♪〜♪

鞄の中から鳴り響く着信音。

───これは、姉貴だ。



< 148 / 180 >

この作品をシェア

pagetop