聞いて、姉貴
──────
───
気づけば外はすっかり暗くなり、冷たい風が頬を撫でる。
一日が終わるのは早い。
こんな仕事だから尚更だ。
……今日も親父たち、遅くなるって言ってたっけ。
また二人きりになるのか、
そう考えたら自然と溜め息が漏れた。
怖いんだ……
アイツと二人きりでいて、いつ理性を失うか。
意識があるならまだいい。
けど。
1年前のあの日みたいに、また寝ぼけてアイツを襲いかねない。
今日は必要以上に近づかないようにしよう。
そう心に決め、ドアに鍵を差し込んだ瞬間だった。
♪♪〜♪
鞄の中から鳴り響く着信音。
───これは、姉貴だ。