聞いて、姉貴




「──姉貴!」



商店街の路地裏。

小さくうずくまる姉貴の姿を見つけ、慌ててかけ寄る。



「……陸っ、あたしっ」


「大丈夫!大丈夫だからっ」


そして、震える体を 思いっきり抱きしめた。



「…あたし、怖くてっ…」

「うん」

「…足、震えてっ…、」

「うん」



大丈夫。

もう大丈夫だから、姉貴。

俺がいるから。



そう言って頭を撫でてやると、姉貴は俺の胸に顔を埋め、子供みたいにわんわん泣き出した。



──ごめんな、姉貴。


怖い思いさせてごめん。



もっと早くかけつけてれば良かった。


自分自身に腹が立って、唇を噛んだ。



< 150 / 180 >

この作品をシェア

pagetop