聞いて、姉貴
僕らの罪
いつまでそうしていただろう。
姉貴の涙はとうに枯れ、俺たち二人、互いにもたれるようにして寄り添っていた。
「…ねぇ、陸?」
ふいに、姉貴が口を開く。
「なに?」
「さっき、どうしてあたしの場所が分かったの?」
「…あー…踏み切りの音。と、ハチの鳴き声?」
ハチとは、商店街の八百屋で飼っている看板犬のこと。
電話の向こうからハチの鳴き声が聞こえて、俺は姉貴の居場所を特定することが出来たんだ。
──今度、ハチにご褒美でも持っていくか。
そんなことを考えていると。
「…そっか。一瞬、エスパーかと思っちゃったよ」
そう言って柔らかく微笑む姉貴。
エスパー……か。
「本当にそんな力があったらいいのにな」
「…え?」
「そしたら…すぐに姉貴のこと、助けてやれるのに。守ってやれるのに…っ!」
姉貴に少しでも怖い思いをさせてしまったこと。
それが悔やまれて仕方ないんだ。