聞いて、姉貴
今日も洗面所には、既に先客がいた。
鏡と睨めっこしながら、髪を乾かす姉貴の後ろ姿。
「なーにシケた面してんだよ?」
「り、りくっ!」
背後から声をかければ、姉貴が、ハッとしたように振り返る。
そして、ムッとしながらドライヤーの熱風を俺に向けてきやがった。
「うわっ、」
思わず目を細める。
「…てめー何すんだ!アホ!」
「陸、おデコ全開〜」
そう言って、子供みたいにケラケラと笑い転げる姉貴。
お前はガキか!
……クソ、
可愛い顔しやがって。
「…許さねー…」
「……り、」
何やら言いかけた姉貴の唇を強引に塞いでやった。