聞いて、姉貴
忘れもしない、中学1年のクリスマス。
俺は初めて姉貴に触れた。
「今日は早寝しないと」
夕食を済ませるなり、姉貴は何やら嬉しそうに階段をかけ上がっていった。
母親に訪ねると、「真弥はまだサンタを信じてるのよ。バカよねぇ」と笑った。
……マジでバカだ。
んなもん、いるわけねぇだろ。
そう呆れながらも、気づけば勝手に頬が緩む。
不覚にも、可愛いなぁなんて思ってしまって。
姉貴は高校生になっても、とにかく純粋な女の子だった。
汚れを知らない、純粋無垢な女の子。
中学に上がっていろんな汚れや悪さを知った俺にとって、姉貴の存在は綺麗すぎた。
眩しかったんだ。
同じ血が通っているとは思えない、俺とは正反対の性格。
心が真っ白で、綺麗で、暖かくて──……。
今思えば、最初は憧れだったのかもしれない。
それがいつしか、恋に変わっていったんだと思う。