聞いて、姉貴
「りっくんはいつもそう。彼女のあたしより、真弥ちゃんをとるの」
落としていた視線を俺に戻し、そのままキッと睨みつけながら梓は嘆いた。
「……」
普通なら、そこで言い訳をするべきだったんだろう。
“家族なんだから当然だろ”
と一言言い切れば済む話だった。
だけど、俺は何も言い返せなかった。
返す言葉が見つからなかった、と言ったほうが良いかもしれない。
だって、そうだろ?
俺の姉貴に対する気持ちは、家族愛とかそんなんじゃないから。
「…前から思ってたんだけど、りっくんって異常だよ」
…異常?
梓の言葉に、何故か核心をつかれたような気がした。