聞いて、姉貴
「何だ、これ」
なんで俺の写真が?
しかもよく見れば、
『第27回 ミスターグランプリ ファイナル進出者』
なんて文字がデカデカと書いてある。
「おめでとう陸!最終選考まで残ったね!」
まるで自分のことのように、涙を浮かべて喜ぶ姉貴。
いや、ちょっと待て。
「…俺、聞いてないんだけど」
雑誌の存在は知っていたが、まさかそのモデルオーディションに勝手に応募されていたとは。
まさに寝耳に水の話だった。
「えへへー。あたしが応募しといたの!」
「えへへ、じゃねぇ!」
誰がモデルなんか。
絶対に御免だ!
今すぐ撤回してくれ!
そう叫ぶと、姉貴は急に眉を下げて俺を見る。
頼むからそうゆう顔、しないでくれ。
俺は相変わらず、姉貴の涙には弱かった。