聞いて、姉貴
その時からだ。
いわゆるモテ期というやつが到来したのは。
『雑誌の陸くん』
という、一種のブランド意識なのだろうか?
気づけば周りには沢山の女がいて、勝手に彼女の座を巡っては喧嘩を繰り返す日々。
だけど実際のところ、俺がつきあった女は梓一人だけだった。
それでも、毎日のように俺の家を訪れる女たちを勘違いしたのか、姉貴は俺をプレイボーイだと言った。
どうやら俺が、毎日女をとっかえひっかえしては遊んで捨てていると思っていたらしい。
とんだ誤解だと言っても、姉貴は信じてはくれなかった。
多分、その頃からだ。
少しずつ。
少しずつ。
俺と姉貴の間に、小さな溝が出来始めていたのは。