聞いて、姉貴
「陸、昨日家にクラスの子がきたよ」
朝食後。
いつものように洗面所で歯を磨いていると、珍しく話しかけてきた姉貴。
「…ふーん」
鏡とにらめっこしながら髪の毛を整えている姿に思わずドキリとしながらも、平然を装って相槌を打つと。
姉貴は髪をいじる手を止め、鏡越しに俺に視線を合わせた。
「ドア開けるなり怒鳴られた。陸、あんたいつか刺されるよ?」
「は!?」
あたしを浮気相手と勘違いしたみたい、と姉貴。
いつかは、そうなる予感もしていたけど。
はぁ、
小さく溜め息をついた。
「…ごめん」
姉貴にだけは迷惑をかけたくなかったのに。
……結果的に巻き込んでしまったんだ。