聞いて、姉貴


無理矢理タクシーに放り込まれて約10分。


いつの間にか、家の前。


窓から盛れるオレンジ色の光が、歪んだ視界に霞んで見えた。


……姉貴、まだ起きてるのか。


そんなことを考えながら、おぼつかない足取りのまま玄関へ向かう。


……う、気持ちわりぃ。


調子に乗って飲み食いしすぎた、と今頃になって後悔した。


クラクラする。

目が回る。



──あぁ、もうダメだ。


やっとの思いでドアを開けた瞬間、俺は倒れた。




そして、



「──陸!」





遠退いていく意識の中、君の声を聞いたんだ───…



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