聞いて、姉貴
カチャ・・・
背後でドアの開く音が聞こえて、ゴクリと息を飲んだ。
「ったく、何度も呼んでたのに。早く食べちゃいなさい」
「う、うん……」
呆れ顔の母さんに小さく声を上げて、姉貴が隣に腰を下ろす。
椅子を引く音が、やけに鼓膜に響いた。
「わ、わぁ、おいしそー」
目の前に置かれた食パンを見るなり、姉貴が乾いた声をあげる。
─…何なんだ?
「そう?ただの食パンじゃない」
俺の言葉を代弁するように、母さんがツッコミを入れる。
「……そういえば、陸。あなた、昨日も夜中に帰ってきたでしょう」
って、俺に話を振るなよ!
思わず口に運ぼうとした玉子焼きを落としそうなった。
落ちつけ、俺。
昨夜練習したじゃねぇか!